ヒドラジンーイソニアジドによる肝障害との関連性
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概要
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イソニアジド(1NH)はりファンピシン(RMP)と併用すると, 単独服用時よりもより重篤な肝障害をおこすことがある. そこでINH代謝物と肝障害との関連をさぐるため, ウサギを用いてINHの代謝におよぼすRMPの影響を検討した. まずRMP前処理したウサギにINHを投与したところ, 1NHならびにその代謝物であるアセチルイソニアジド(AdNH),アセチルヒドラジン(AcHz)およびジアセチルヒドラジン(DAcHz)の血中濃度プロファイルは, 対照群のそれにくらべ差はほとんどみられなかった. ところが, INH代謝物の一つであるヒドラジン(Hz : H_2NNH_2)の8時間までの血中濃度一時間曲線下面積(AUC_O-8hr)は, 対照群のそれに比して著しく減少した. Hz・ヒドラートそのものを投与しても, その血中消失速度は対照群よりも有意に増加した. またRMP処理により, ウサギ肝ミクロゾーム中のチトクロムP-450活性が増大することも認められた. 一方, Hzを投与したウサギでは, 対照群, AcHzあるいはRMPのみを投与した群にくらべ, けん著な肝細胞の壊死がみられ, RMP前処理によりさらに著しい細胞毒性の増強がみられた. これらの事実より, "INH-肝障害の最も有力な起因物質はその代謝物のHzであり, Hzは肝ミクロゾーム中のチトクロムP-450による酸化である種の肝毒性種(たとえばH_2NNHOH, NH=NHなと)へ変換させられるが, RMPは酵素誘導することによりこのHzの酸化代謝過程を促進する"ということが示唆された.
- 産業医科大学学会の論文
- 1983-06-01
著者
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野田 浩司
産業医科大学名誉教授
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黒住 武史
九州大学医学部病理学教室
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野田 敦子
九州大学薬学部
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山本 雄三
九州大学薬学部薬剤学教室
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許 光陽
台北医学院薬学系薬剤学科
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許 光陽
九州大学薬学部薬剤学教室
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野田 浩司
Department Of Hospital Pharmacy School Of Medicine University Of Occupational And Environmental Heal
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