小豆子実フェノール成分のメタノールによる抽出条件の検討及び種皮部と子葉部の含量差異について : 小豆生産地の土壌の種類が子実成分組成と調理特性に及ぼす影響 : 第3報
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概要
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既往の研究では特定フェノール成分の分離・同定を目的にしているために、抽出溶媒は著しく異なっており、研究相互間の比較検討が困難であった。そこで、本研究はメタノールによる抽出条件について種皮部と子葉部とに分けて定量的観点から比較検討を加えた。さらに種皮部と子葉部との含量差異についても検討し、次のような結果を得た。1. 種皮部からの各フェノール成分の抽出は50%メタノール・90℃が最適であり、それらの含量はフェノール成分が17.0mg D-カテキン当量/g、クロロゲン酸が6.68mg/g、フロアントシアニジンが 17.3A. at 540nm 10mZ/g であった。2. 子葉部からの各フェノール成分の抽出は70%メタノール・90℃が最適であり、それらの含量はフェノール成分が2.05mg D-カテキン当量/g、クロロゲン酸が 0,367mg/g 、フロアントシアニジンが 0.213A. at 540nm 10mZ/g であった。 3.子葉部のフロアントシアニジンの可溶性率は種皮部よりも低く、低濃度メタノール摘出ではとくに低くなったが、このことは可溶性フロアントシアニジンの一部が抽出中に蛋白質と結合して不溶化したことによると考えられた。4.種皮部は子実全体の89%のフェノール成分、94.8%のクロロゲン酸、96.8%のフロアントシアニジンを含んでおり、子葉部の含量はきわめて少なかった。5.以上の結果は小豆子実のフェノール成分の化学的研究ばかりでなく、小豆子実の調理特性、とくにアン粒子形成機構の研究にも役立つものと考えられる。
- 日本調理科学会の論文
- 1996-05-20
著者
-
嵯峨 紘一
弘前大学農学生命科学部
-
奥瀬 一郎
弘前大農学部
-
畑井 朝子
北海道教育大学函館分校家政教室
-
長岡 泰良
株式会社バイオテック
-
長岡 泰良
バイオテック
-
長岡 泰良
(株)バイオテック
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奥瀬 一郎
弘前大学農学部
-
畑井 朝子
北海道教育大学
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嵯峨 紘一
弘前大農学部
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