高齢者の生活環境への学習意欲に関する基礎的研究 : 高校生を対象として

概要

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高校生の高齢者の生活環境に関する学習意欲の実態とその影響を見てきたが, これらの結果から次のことが言える。(1) 高校生における高齢者の生活環境に関する知識量や生活体験量は, 全体として少ないと言える。特に, 知識量については男子の方が少なく, 学年別では差がなかった。(2) 高校生における高齢者の生活環境に関する学習意欲は, 全体として低いと言える。なお,「家庭科の学習経験」「高齢者の生活環境についての授業経験」「祖父母の存在」「住み方の多様化および福祉施設や専用住宅の整備の知識」「自分の問題」「両親, 祖父母, 高齢者への思い」「高齢者への関心」「社会問題として自主的解決」「学習する課題に対する意義」が, 学習意欲に関係すると思われる。(3) 学習意欲を高めるには, 学習意欲を引き起こす動機とそれを方向づける目標が必要である。それは, 高齢者の生活問題を個人の問題から両親, 祖父母, 高齢者全体の問題として広く発展的に捉え, 人間的尊厳の理解へと深め, 高齢者の生活環境を創造していく主体形成を育むことである。そうすれば, 高齢者の生活環境に関する学習に大きな意義を見いだすと考えられる。
1997-04-20