東北地方における1969年のアワヨトウ第2回多発生の原因に関する考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 東北地方における1969年のアワヨトウ第1回発生は少なく幼虫の集中発生は秋田県南部の1地点に認められたのみであったが,第2回発生は激甚で,集中発生地点は40数個所に達し,各県でかなりの被害を生じた。第1回に比較して第2回発生が非常に激甚であったことから,第2回多発はこの地方外から成虫群が移動侵入したことによって起こった可能性が大きいと考えられた。2. 地上の風向風速観測値,ならびに地上及び850MB面天気図を検討した結果,7月27∼28日は中国大陸東北区の吉林省方面から北海道東部に向かって急速に東進した低気圧があり,その南側上空に生じた強い西風によって成虫群が運ばれ,28日夕刻の寒冷前線通過時にその多くが東北地方に着地した可能性があることが判明した。3. 秋田市及び岩手県安代町細野における成虫の糖蜜誘殺では,6月中旬から7月中旬までアワヨトウは全く認められず,7月28∼29日の夜に初めてアワヨトウがトラップに入り,しばらく誘殺が続いた。細野では誘殺数が極めて多く,この成虫群の産卵によると思われる幼虫の集中発生が起こった。これらの事実も28日夜に成虫群が飛来したと言う推測を支持するものであろう。4. 1969年第2回の幼虫集中発生地点が奥羽山脈の西側平坦地に広く分布したことも成虫群が西岸から侵入したとこを示唆する。また,成虫群の一部は東西に走る溪谷沿いに移動し,さらに奥羽山脈の低部を越えてその東側に侵入した形跡が認められたた。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1976-12-25
著者
関連論文
- 標高が異なる地点のシロモンヤガの発育の比較
- 東北地方の草地における害虫多発生の概況 : III.タマナヤガの産卵時期
- 東北地方の草地における害虫多発生の概況 : II.ヤガ類以外の害虫の発生概況
- 東北地方の草地における害虫多発生の概況 : I.ヤガ類の発生概況
- C113 有機合成殺虫剤の散布がダイズ畑の節足動物群集に及ぼす影響 : 吸汁性害虫と捕食性天敵の相互作用に及ぼす影響(防除技術)
- 240 有機合成殺虫剤の散布がダイズ畑の節足動物群集に及ぼす影響 : 群集構造と散布時期の関係
- ヤガ類成虫の移動と生活環
- 東北地方における1960年のアワヨトウ大発生の原因,特に中国大陸からの飛来可能性に関する考察
- 東北地方の草地における1971年初夏のアワヨトウ異常発生原因特に成虫飛来日の再検討
- 518 ダイズの虫害粒率の予察ならびに防除要否の判定(一般講演)
- 東北地方におけるダイズ害虫の発生相,虫害相ならびに虫害発生量の予察に関する研究
- 東北地方における大豆虫害の年次変動ならびに虫害粒率の発生予察(一般講演)
- 草地におけるウリハムシモドキの密度変動 : 第4報 発生密度の年次変動
- 草地におけるウリハムシモドキの密度変動 : 第3報 1世代内における密度減少過程
- 136.東北地方における大豆虫害の地域性
- 421. タマナヤガ成虫の牧草に対する産卵習性(予報)(一般講演)
- 東北地方におけるウスグロヤガおよびムギヤガの周年経過 : II. 成虫の誘殺消長と夏眠および移動の関係
- B416 岩手県と石垣島の牧草地における節足動物および軟体動物相の比較(有害動物)
- 338 山地傾斜地の人工草地造成前後における生物相とくに節足動物相の変化(生態学, 昭和44年度 日本農学会大会分科会)
- 殺虫剤の土壌施用に関する研究 : 第3報 浸透性有機リン剤のバレイショのオオニジュウヤホシテントウ防除効果
- 110. ウリハムシモドキの大発生機構に関する研究 : I. ウリハムシモドキの発生密度と牧草の被度の関係
- ハナカメムシの1種が大豆のアブラムシ類の密度消長におよぼす影響 : 多食性捕食虫とその食餌動物の相互関係の一例
- 204 畑作害虫の省力防除に関する研究 I 土壌施薬によるバレイショ害虫省力防除(昭和40年度日本農学会大会分科会)
- 東北地方において大豆を加害するヒメサヤムシガ類(予報)
- 北日本の草地における1972年のアワヨトウ第1世代の異常発生とその原因
- 東北地方におけるウスグロヤガおよびムギヤガの周年経過 : I. 発育経過および越夏状況
- クローバヒメハマキの形態および生活史について
- 北日本において針葉樹を加害する若干のハマキガ科昆虫について
- 草地におけるテンクロアツバ及びマエジロヤガの周年経過
- 一色周知先生
- 東北地方における1969年のアワヨトウ第2回多発生の原因に関する考察
- 本邦におけるカラマツミキモグリガの発生および幼期の形態
- 146 大豆圃場における節足動物群集の動態について(昭和39年度日本農学会大会分科会)
- 142 てん菜圃場における節足動物群集の動態(昭和40年度日本農学会大会分科会)
- コブアシヒメイエバエの交尾行動における性的および生理的特性
- コプアシヒメイエバエの群飛の際に起る交尾の観察
- コブアシヒメイエバエFannia scalaris FABRICIUSの群飛, 一般的観察と群飛個体数について