阪神・淡路大震災被災者におけるpost-traumatic stress disorder調査(第1報) : 日本心身医学会近畿支部第二次ボランティア活動報告I

概要

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阪神・淡路大震災の被災者681名に, 質問票を用いてpost-traumatic stress disorder (PTSD)調査を実施した.質問票は「外傷体験」Q1〜Q2,「再体験」Q3〜Q6,「回避行動」Q7〜Q12,「過度覚醒状態」Q13〜Q17,「不適応」Q18〜Q21の5項目で構成され, 「再体験」で1つ以上, 「回避行動」で3つ以上, 「過度覚醒状態」で2つ以上該当回答があった場合をPTSDとした.PTSD発症率は49例7.2%で, 性差はなかった.60歳以上の高齢者層の発症率は31例15.3%と有意に高く, 震災から90〜180日の期間に高い発症率がみられた.単・重回帰分析では「回避行動」項目とPTSD発症との間に高い相関が認められた.重回帰分析の結果では, 決定係数r^2=0.589という良好な回帰式が得られ, 本調査で用いた質問票の妥当性が確認できた.オッズ比の検討でも「回避行動」項目で該当回答をした群のPTSD発症率は高く, PTSDの中核症状は「回避行動」であると推察された.本調査のPTSD発症率が既報の結果と異なる点については, 種々の原因が考えられた.
日本心身医学会の論文
1998-12-01