急性ウィルス性肝炎遷延化の再検討 : とくにA型肝炎とB型肝炎の比較を中心にして(自然科学編)

概要

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急性肝炎は,肝炎ウィルス,その他のウィルス,アルコールを含む薬物などが原因でおこされる疾患であるが,一般には急性肝炎は急性ウィルス性肝炎を意味すると理解されている。現在ではA型肝炎ウィルスとB型肝炎ウィルスが分離,同定され,それぞれ関連する抗原抗体系を測定することによって急性肝炎の血清診断が可能となっている。従来急性肝炎は治癒しやすく予後の良好な疾病とされており,なかでも特にA型肝炎は経過が短く治癒まで1〜2ケ月,漫性化例はないとさえされてきたが,最近になって経過の遷延する症例の存在が注目,報告されはじめている。小藤田らは以前から急性肝炎経過の遷延化の指標をより早期につかむことは診断ならびに治療上有意義であると考え,またその病態の解明は食事療法や薬剤の治療効果判定の検討の上でも重要と考え,この面からの検討をつづけてきた)。今回,発病初期に肝炎ウィルスの抗原抗体系の各マーカーを測定し,確定診断された急性肝炎症例で,特にA型とB型の比較を中心に検討をおこない,いくつかの知見を得たので報告する。
千葉県立衛生短期大学の論文