肝蛭感染家兎におけるRafoxanide投与後の沈降抗体の消長

概要

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肝蛭感染家兎にRafoxanideを投与し, 肝蛭駆除剤投薬後の沈降抗体の消長を寒天ゲル内沈降反応によって観察した。肝蛭感染家兎9頭における沈降抗体の出現時期は, 感染後4週目に9頭中2頭, 他の7頭は5週目にいたってはじめて認められた。これら9頭の家兎のうち7頭に, 感染後5週目においてRafoxanide 50mg/kgを, それぞれ1回, 経口的に投与した(投薬群)。また, 他の2頭は未投薬群とした。投薬群7頭中4頭(Nos. 1∿4)は投薬後3週目に, 1頭(No. 5)は4週目に, 2頭(Nos. 6および7)は5週目において, 沈降抗体がそれぞれ陰転した。未投薬群の2頭(Nos. 8および9)の家兎では, 沈降抗体は最終検査の感染後22週にいたるまで認められた。投薬群の家兎を剖検し, 肝臓を肉眼的に検索したところ, いずれも肝臓表面には灰白色あるいは灰黄色の線状もしくは蛇行状の瘢痕を形成し, 肝実質には虫道または壊死巣が散見された。またいずれの肝臓にも, 肝蛭の寄生はみられなかった。未投薬群の家兎では, 肝蛭4隻(No. 8)および2隻(No. 9)が胆管に棲息していた。以上の成績から, 寒天ゲル内沈降反応は, 肝蛭感染を察知するのに有用な方法であるとともに, 肝蛭駆除剤の効果判定に応用できるものと考えられる。
神戸大学の論文
1985-01-31