ブドウ球菌の培養細胞および生体由来細胞への付着
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概要
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ブドウ球菌14菌種の14株を用い,培養細胞,家兎の鼻腔および気管粘膜上皮細胞,マウスおよびニワトリの表皮細胞への付着性について検討し,つぎの結果を得た。1. Vero細胞によく付着した菌種はS. aureus Cowan I(1細胞当り14.43個)およびS. hyicus NCTC 10350(11.67個)で,その他の菌種では0.79∿3.91個であった。MDCK細胞に対してもS. aureus(10.06個)とS. hyicus(5.94個)はよく付着した。2. 鼻腔(N)粘膜上皮細胞および気管(T)粘膜上皮細胞によく付着した菌種はS. aureus Cowan I(1細胞当りNで1.15個,Tで1.77個)とS. hyicus NCTC 10350(Nで0.87個,Tで1.08個)で,その他の菌種ではNで0.01∿0.22個,Tで0.01∿0.32個であった。3. マウス表皮細胞によく付着した菌種はS. sciuri ATCC 29062(10.26個)で,その他の菌種では0.04∿1.93個であった。ニワトリ表皮細胞に対してはどの菌種もほとんど付着せず,その付着菌数は0.04∿0.67個の間にあった。以上のことから,ブドウ球菌の培養細胞および上部気道粘膜上皮細胞には,S. aureus Cowan IとS. hyicus NCTC 10350が高い付着性を示すことがわかった。この両株はプロテインAを保有しており,このことから,プロテインAを保有する菌株ほど該細胞への付着性が高いことが推察された。また,マウス表皮細胞にはS. sciuri ATCC 29062が高い付着性を示し,興味深いことに,このS. sciuriは主としてげっ歯類の皮膚より高頻度に分離される菌種であった。
- 神戸大学の論文
著者
-
河野 潤一
神戸大学農学部感染症制御学教室
-
尾崎 潤一郎
神戸大学農学部家畜衛生学教室
-
木村 重
神戸大学農学部家畜衛生学教室
-
河野 潤一
神戸大学 農
-
木村 重
応用免疫学研究室
-
河野 潤一
神戸大学農学部
-
木村 重[他]
神戸大学農学部
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