肝蛭症の病理学的研究 : I. 山羊肝蛭の長期感染例における肝臓病変(畜産学)

概要

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肝蛭自然感染山羊の慢性に経過した1例について, 病理学的検索をおこなった。野外における肝蛭感染は, 一般に再感染あるいは重複感染がおこなわれている。本例はただ1回の感染, しかも感染後やく4カ年を経過したものであり, 山羊肝蛭症ではきわめて稀な例である。なお, 肝蛭32匹が胆管内に寄生していた。肝の肉眼的変化は, 小葉間胆管の拡張, 壁の肥厚および粘膜の乳嘴腫様増生にともなう胆管腔の狭窄もみとめた。組織学的には, 胆管粘膜上皮の形成する陰窩の複雑化ないし腺腫様増生, さらに粘膜上皮細胞の浮腫と粘膜下織における結合線維の増生がみられた。また, 粘膜固有層における好酸球と円形細胞の浸潤, 胆管周囲にはリンパ濾胞様構造物が散在していた。エオシン好性顆粒を原形質内に含む特異細胞を, 粘膜上皮列の間およびその内側に多数みとめた。肝実質においては, 虫道性病変にたいする修復像が観察され, また肝小葉間結合織の増生をきたしたところの動脉は, 壁の肥厚などのいちじるしい変化を呈していた。
神戸大学の論文
1976-00-00