キュウリの低温障害と有機酸の変化(園芸農学)
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概要
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1) 開花後3日, 6日, および12日収穫のキュウリ(近成山東)をそれぞれ5℃と20℃に貯蔵し, 1日おきに取出して分析し有機酸の消長を調べた。2) 5℃貯蔵の果実は, 異臭, 白濁液の発生軟化等の障害症状を呈したが, これらの症状は収穫時の熟度の若い果実ほど早く現われた。20℃貯蔵の果実においても開花後3日収穫区の若い果実は, 5℃貯蔵の果実と同時期に腐敗したが, 老熟果には変化を認めなかった。3) 全酸含量中, 遊離酸の量は約10%程度に過ぎず, また全酸含量が老熟果になるに従って減少するのに対し, 遊離酸含量と果実の熟度との間に特別な関係はなかった。5℃貯蔵果実においては, いづれの酸も貯蔵末期には20℃の場合よりも, 明らかに低くなった。この傾向は若い果実ほど顕著であった。揮発性酸の含有率は極めて微量であり, 果実の熟度が進むにつれ減少した。4) 不揮発性酸中, リンゴ酸が最も多く, クエン酸がこれに次いだ。両者とも若い果実ほど多量に含有された。リンゴ酸は5℃貯蔵においては末期に著しく減少して20℃の場合の含有率より低くなったが, クエン酸ではそのような変化を示さなかった。その他にシユウ酸及び類似の未知酸と, 極めて微量のコハク酸及びシスアユニット酸が存在したが, これ等の含有量の推移には特別の傾向が認められなかった。5) ピルビン酸の含有量は, 20℃貯蔵では変化しなかったが, 5℃では低温障害で果肉が軟化する時期まで次第に増加し, その後減少した。αケトグルタル酸は, 貯蔵当初から次第に減少したが, 5℃貯蔵に比べ20℃の場合の方が急速であった。オキザロ酢酸は含有量が非常に少く, 消長過程は不規則であったが, 貯蔵末期になるに従って, 20℃の場合に比べ5℃の含有量がやや大となる傾向があった。
- 神戸大学の論文
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