近遠心的に圧平された下顎第二小臼歯について
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概要
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下顎小臼歯の形態異常の中で, 歯冠が頬舌的に圧平されたものについてはいくつかの報告がなされてきたが, それらとは逆に歯冠が近遠心的に圧平された形態異常に関する報告はほとんど認められない。著者らは今回, 歯冠が近遠心的に圧平された下顎小臼歯の形態異常を数例見出したので, その所見を報告する。形態異常が認められたものは, 第二小臼歯4例である。一般に下顎小臼歯の歯冠の近遠心径は頬舌径を下回っているが, 本例ではその差異が顕著であり, したがって歯冠指数〔(頬舌径/近遠心径)×100〕は下顎第二小臼歯の平均値を大きく上回っていた。そのためこれらの第二小臼歯の歯冠の外形は, むしろ上顎小臼歯の歯冠形態に類似していた。また, すべての例において当該歯の歯冠が近心または遠心のいずれかの方向へ90度近く強く捻転しており, また反対側の同名歯になんらかの形態異常ないし先天的欠如が認められた。Dahlberg(1949)は頬舌的に圧平された下顎小臼歯の成因を, 先行歯である乳臼歯に作用したのと同じ頬舌的な圧縮因子に求めている。本例においても同様な頬舌的圧縮因子が作用したと仮定すると, 本例は当該歯が歯胚形成初期にすでに近心または遠心のいずれかの方向に90度近く捻転していたことにより, この頬舌的な圧縮因子がこれらの歯胚に対して見かけ上の近遠心的圧平力として作用し, その結果, 歯冠が近遠心方向へ圧平された形態異常が生じたと考えることができる。
- 東北大学の論文
- 1991-06-29
著者
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