大臼歯列に限局してみられた先天性欠如
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概要
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21歳の健康な女性の歯列において, 大臼歯列に限局した先天性欠如を認めた。欠如歯は, 左右両側の下顎第一大臼歯を除く, 他のすべての大臼歯であった。本例は, 第一生歯の歯に属する, 大臼歯列のみに6歯(智歯を含み10歯)もの欠如がみられるものの, 第二生歯の歯に属する代生歯列には1歯の欠如も認められないという, 特異な, 欠如様式をとるものである。先に, 代生歯列には7歯もの欠如がみられるものの, 大臼歯列には, 智歯をも含め, 1歯の欠如も認められない例を報告したが, 本欠如例は, これとはまさに好対照をなすものであった。現存する下顎第一大臼歯には, 主咬頭数の減少, 歯根の開離度の減弱, さらに歯冠近遠心径の縮小などの退化的傾向が認められた。しかし, 代生歯列では歯冠近遠心径が, 逆に, 平均値よりもたかい値をしめす歯も見られ, 代生歯の歯冠近遠心径の総和は, ほぼ日本人女性の平均値の総和に一致していた。一般に, 歯の欠如が認められる個体においては, 現存歯には, 縮小化の傾向がみられるとされているが, 本欠如例, および先の欠如例のように, 欠如が第一, あるいは第二生歯列の一方のみに偏在するような個体においては, 歯の縮小化の波は, 他方の生歯列には必ずしもつよくは, 波及しないものと考えられた。
- 東北大学の論文
- 1988-06-30
著者
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