計測法によるシャベル状切歯の分析 : 下顎切歯を中心として
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概要
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シャベル状切歯に関する研究の多くはHrdlickaが設定した基準にもとづいて舌側面のシャベル形態を人為的に分類し, その結果をもとに人種間の差異や類縁性を論ずるというものであった。したがってそれらの研究は, シャベル形態の明瞭な上顎切歯に限定されがちであった。また本来連続量であると考えられるこの形質をあえて非連続変量に変換してしまうといううらみがあた。本研究では舌側面窩の深さを計測し, その計測値の大小をもってシャベル形態を分析する方法をとった。この方法は隣在する中切歯と側切歯のみならず上, 下顎の切歯を共通の場で取り扱うことができるという利点をもつため, 各切歯間の比較を容易に行なうことができるという長所をもつ。本研究では, 従来ほとんど報告例をみない下顎切歯のシャベル形態に着目し, その舌側面窩の深さの計測から, シャベル形態の中切歯と側切歯との関連性および上, 下顎の同名切歯間の関連性などを調査した。その結果, 下顎の中切歯と側切歯間には舌側面窩の深さに関して, 上顎の中切歯と側切歯間に認められるものとほぼ同程度の強い相関が認められた。また上, 下顎の同名切歯間にもこの形質に関して強い相関が認められた。この上, 下顎の相関の強さに関して, 側切歯は中切歯と同程度とみなされた。
- 東北大学の論文
- 1990-07-10
著者
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