日本人の上顎大臼歯の舌側歯帯について
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概要
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日本人271人の歯列模型の資料にもとづき上顎各大臼歯の近心舌側面にみられる歯帯(舌側歯帯)の出現率ならびに発達度を調査するとともに, この形象の出現に関する歯列内の各臼歯間の相互関係および左右側同名大臼歯間の相互関係を調査した。舌側歯帯の出現率は第一, 第二および第三大臼歯でそれぞれ682%, 18.4%, 20.1%であった。舌側歯帯には, 第一大臼歯と第二大臼歯間で相互に関連性をもって出現する傾向がみられるものの, 第二と第三大臼歯間および第一と第三大臼歯間ではその傾向が希薄であった。また舌側歯帯には, 左右側同名大臼歯間に両側性に出現する傾向がみられた。左右両側性に出現する度合いをしめす対称度は, 第一, 第二および第三大臼歯でそれぞれ81.5,41.7,32.1となり遠心大臼歯ほど低い値をしめした。舌側歯帯が出現した個体のみに限ってみると舌側歯帯の発達度は第二大臼歯で最も弱く, 発達微弱なものが相対的に多く出現した。一方, 第一大臼歯と第三大臼歯との発達度には優劣がつけがたく各発達段階のものが, これら両大臼歯にほぼ同率に出現した。上顎大臼歯の舌側歯帯に関する調査から得られた所見と, 先に行った下顎大臼歯の頬側歯帯(Protostylid)の調査結果との比較から, 歯帯に関する限り上顎の第三大臼歯は下顎のそれよりも形態的に不安定であり, 前者の退化が後者に先行しているものと考えられた。
- 東北大学の論文
- 1986-12-01
著者
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