日本人の下顎小臼歯の形態学的研究
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概要
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およそ千個体の日本人下顎歯列石膏模型を用い, 下顎小臼歯の4項目7種類の諸形質についてそれらの形態変異を分類するとともに, 出現頻度ならびに左右側および歯種内相互関係を調査した。舌側咬頭, 舌側副咬頭および中心溝の発達は第一小臼歯よりも第二小臼歯の方が顕著であったが, 舌側咬頭の形態変異に関しては第一小臼歯の方がはるかに著しかった。左右側相関関係にはすべての形質において有意性が認められたが, 第一および第二小臼歯を比較すると, 舌側咬頭, 舌側副咬頭および舌側面溝の各相関係数は第一小臼歯よりも第二小臼歯の方の有意性が高かった。第一および第二小臼歯に出現する形質が両歯間で相同なものであれば, その左右側への出現傾向が一致するほどその形質の形態的安定性は高いと判断され, 舌側咬頭および舌側副咬頭に関しては第一小臼歯よりも第二小臼歯の方がその形態的安定性が優っていると考えられた。しかし舌側面溝に関しては両歯間の形態的相同性に疑義が存在するので, 左右側相関係数の歯種内での比較検討は適切ではない。第一および第二小臼歯間の歯種内相関関係に有意性がみられたものは舌側咬頭および舌側副咬頭であり, 有意性がみられなかったものは中心溝および舌側面溝であった。また両歯間における各形質の出現傾向が独立事象によるものとした理論値と実際値との一致度の検定では, 舌側咬頭および舌側副咬頭の出現は非独立事象として, また中心溝および舌側面溝の出現は独立事象として確認された。この結果は歯種内相関関係の結果と一致し, 中心溝と舌側面溝は第一および第二小臼歯間において全く関連性のない出現傾向を, また舌側咬頭および舌側副咬頭は両歯間相互に関連性のある出現傾向を示すものと考えられた。
- 東北大学の論文
- 1988-12-28
著者
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