養殖ブリに対するペプチド鉄の効果と安全性についての研究
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概要
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養殖ブリの飼養管理には今だ多くの改善点が残されている。なかでも養殖ブリの貧血を伴う発育低下と斃死は生産性の低下をもたらし, 養殖業界に大きな損害を与えている。桑原, 竹田はベプチド鉄と各種鉄剤とを比較し, 上記の問題の改善にペプチド鉄が有効であると指摘している。そこで本実験では平均魚体重208gの養殖ブリに, 冷凍生餌のコオナゴを餌料としペプチド鉄を鉄〔Fe〕として10 mg, 30 mg(餌料1 kg当り)添加混和したものを効果試験には21日間, 安全性試験では60日間連続給与した。 実験開始時の供試魚の血液性状は総赤血球数(RBC), ヘモグロビン(Hb)量, ヘマトクリット(Ht)値, 血漿総蛋白質(T.P)ともに劣悪な状態を示していたが, ペプチド鉄のFe30 mg区では著明な改善が見られた。さらに安全性試験からMCVでFe投与区が高い値を示し, MCHCでは正の勾配で高い値を示した。また, いずれの組織所見からも副作用を示す問題点はなく, 貧血防止のみならず体質の改善に効果があることが明らかとなった。またFe投与区の刺身の色は天然魚に近い養殖ブリの生産の可能性を示唆している。There are still many aspects to be improved on the management of yellow tail culture. Practically decreased growth and increased mortality due to anemia caused much in economic losses in the fish cultured industry The efiicacy of iron peptide was demonstrated from a comparative study of various iron preparation by KUWAHARA, TAKEDA et al. They suggested that iron peptide was effective on the improvement of productivity in cultured yellow tails. Therefore, in the present study, cultured yellow tails of an average body weight of,208g were fed with frozen raw fish feed "Kohnago", which contained iron peptide to the extent of 10 or 30mg Fe per kg of raw feed, consecutively for 21 days in an efficacy test and for 60 days in a safety test. Hematologic data of cultured yellow tails at the start of the experiment indicated poor red blood cells(RBC), Hemoglobin (Hb), and Hematocrit(Ht) and in plasma total protein (T.P.). However,a remarkable improvement was observed in the group treated with iron peptide, the Fe-30mg group. Moreover, in the safety corroboration test, the Fe treatment groups showed high values in MCV and also in MCHC with a positive correlation. No side-effect was observed in the histopathological findings which indicated the effect of improving constitution as well as prevention of animia. The color of "sashimi" from the Fe dosing groups suggested the capability of production of cultured yellow tails having a natural color.
- 日本獣医生命科学大学の論文
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