人工肛門造設患者の受容を困難にした役割喪失の明確化 : 感情レベルで受容できなかった一事例から考える
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概要
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人工肛門を造設することによって,人は自らのボディイメージの変容を余儀なくされるばかりか,大きな喪失感をも感じる。その喪失感が,時として人工肛門の受容が困難にしている場合がある。今回,人工肛門の受容が困難であった一事例を通し,受容を困難にしている喪失感を明確にすることを試みた。人工肛門造設に伴う喪失感には,人工肛門に対するボディイメージ及び人間的感情の反応・分析から,それまでのその人個人の価値観の喪失や社会的立場の喪失など,自己の存在への危険感が大きい。中でも,人工肛門造設によって夫・父親という家族の中の中心であった自己の存在が脅かされた時,大きな衝撃とともに,自己の価値の喪失を強く感じている。その喪失の中には,性に関する問題など,プライバシーに関わる事例が多く,看護婦がどこまで関われるか,人工肛門の受容ということに大きな影響がある,と考えられた。従って,人工肛門の受容に関する問題のように,対象のプライバシーに深く関わるものであっても,そのアプローチの方法を考慮し,ceraしていくことの,重要性を示唆されている。
- 足利短期大学の論文
- 1994-12-15
著者
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