沖縄に生育するスギ, ヒノキの伸長生長と木部形成(林学科)
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概要
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沖縄に生育する針葉樹の生長パターンを明らかにする目的で, ここではスギとヒノキを対象に, シュートの伸長生長と胸高部位における木部形成の季節的経過を観察するとともに, それらの関連について検討を加えた。1.スギの伸長生長は3月から始まり9月に, またヒノキの伸長生長は4月から始まり10月に終った。両樹種ともS字型の伸長経過を示し, 生長期間は約7ケ月間であった。2.スギの形成層活動は3月上旬ごろから始まり, 10月ごろまで続くと推定された。形成層活動に伴って一次壁帯細胞数は3月に急激に増加し, それ以降8月まで15細胞程度に維持されるが, その後減少し始め11月には休止期と同じ数になった。また, 二次壁形成は3月下旬ごろから始まり11月下旬には終ると推定された。したがって, スギの木部形成は3月上旬から始まり11月下旬まで続くと考えられた。3.ヒノキの形成層活動は4月中旬ごろから始まり, 11月ごろまで続くと推定された。一次壁帯細胞数は4月から増加を始め, 5月から9月にかけて12細胞程度に維持されるが, その後減少し始め12月には休止期と同じ数になった。また, 新生細胞の二次壁形成は5月上旬ごろから始まり, 年輪最終部の3∿5細胞を除いて12月には終った。これらの未成熟な細胞は翌春完成されると推定され, ヒノキの木部形成は4月中旬から始まり, 12月まで続くと考えられた。4.晩材形成は, スギでは7月下旬ごろ, ヒノキでは10月中旬ごろから始まった。5.スギ, ヒノキとも, 伸長生長と木部形成は季節的に対応し, 伸長生長と形成層細胞の分裂はほぼ同時に始まり, 伸長生長が停止して約1ケ月後に形成層活動が終った。
- 琉球大学の論文
- 1981-11-30
著者
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