リユウキユウマツの木部形成に関する研究(第 2 報) : 生長輪形成の季節的経過(林学科)
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概要
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亜熱帯産針葉樹であるリュウキュウマツの生長輪形成を明らかにするために, 8年生, 20年生および30年生木を対象に, それらの樹幹の胸高付近から樹皮と当年生の木部を含む試料を1ケ月ごと取り出し, 一次壁帯細胞数と木部細胞数を測定することによって生長輪形成の季節的経過を検討した。1)一次壁帯細胞数は2月に急激に増加し, その後あまり増減がなく11月まで10∿15細胞を保つが, 12月には減少し始め, 1月には6∿9細胞となって最小値を示した。一次壁帯細胞数の増加に伴なって, 木部細胞の形成は2月下旬から3月上旬に始まり, 翌年の1月まで続くが, 二次壁形成が終了するのは2月であった。2月には再び一次壁帯細胞数が増加し, 次の生長輪に属する細胞の二次壁形成が始まった。したがって, リュウキュウマツの生長輪形成は2月に始まって翌年の2月に終ると推定された。2)形成層帯の活動は2月から活発になり, 最盛期に達した後は急に衰えるが, その活動には明らかな休止期がみられず細胞分裂は1年間をとおして連続的に行われた。また, 細胞分裂のピークの時期とその持続期間, およびその結果としての木部細胞の増加のしかたに, 樹令の異なる供試木間で差異がみられたが, この原因については樹令の違いによるものかあるいは立地条件などの違いによるものかわからなかった。3)細胞分裂の頻度の季節的変動と木部細胞の増加数のそれとは, 同じような傾向を示し, 生長輪形成の初期を除いて毎月, 細胞分裂の回数とほぼ同じ数の木部細胞が形成されたので, 分裂の頻度が大きいときと小さいときでは, 細胞分裂から二次壁形成直前までの分化時間に差異があると推定された。また, 形成層始原細胞から二次壁形成直前の細胞までの分化に要する時間は, 細胞分裂の頻度との間に密接な関係がみられ, 分裂の頻度が高いときには短かく, 低いときには長いことがわかった。4)晩材形成は, 8年生木では8月中旬から, 20年生と30年生木では7月中旬から始まり, その期間が長いことがわかった。
- 琉球大学の論文
- 1979-12-11
著者
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