地震波速度異方性からみた南極昭和基地下の地殻-マントルのデカップリング
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概要
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昭和基地で広帯域地震計によって記録されたモホ面でのPs変換波に対してS波スプリティングの解析を行い, 地殻内の地震波速度の異方性の主軸方位, 遅延時間差を求めた。すでに報告されている, SKSスプリティングによるマントルの異方性の特徴と比較することにより, この地域が受けた変形との関係を議論した。地殻部分のS波スプリティングは平均的にN50°W方向に速く, 遅延時間差は0.5秒であり, 速度の速い方位はマントルの場合(N49°E)とほぼ直交する。地殻の異方性のみであれば部分的にはゴンドワナ大陸の分裂でも説明できるが, 観測された地殻-マントル間でデカップルした異方性が生じる原因としては, 5億年前の衝突型の変成作用に伴う変形が最も考えやすい。大陸地殻の衝突に特徴的な地殻とマントルの剥離が起こり, その後地殻は横方向にextrusionし, マントルが沈み込むという形態をとっていれば, 地震波速度異方性から予想されるそれぞれの流動方向を説明可能である。
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