オリビンの変形機構図に基く後氷期地殻変動に対するアセノスフェアの変形則の推定
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
後氷期地殻変動のモデリングには主に線形レオロジー則が用いられる。しかし, 実際の上部マントル起源の岩石の変形では非線形レオロジー則が卓越してみられ, どちらの変形機構を用いるかについて物理的な意味付けが求められている。本稿では上部マントルでの地震波速度の異方性形成に関する最近の進歩に基づき, アセノスフェアに限り, 後氷期地殻変動に対するアセノスフェアのレオロジー則を観測情報から与えてやる可能性について考える。地震波速度異方性の形成とプレート運動との関係から, アセノスフェアの異方性形成にはひずみ速度の臨界値(1∿10×10^<-15>s^<-1>)がある可能性がでてきた。これはひずみ速度が増加しある値を超えることによって変形機構が線形レオロジーから非線形レオロジーへ移り変わるためと考えられる。後氷期地殻変動で予想されるひずみ速度(1∿10×10^<-17>s^<-1>)は, オリビンの変形機構が移り変わる臨界ひずみ速度よりも小さな値をもつ。よって少なくともアセノスフェアについては, 後氷期地殻変動に対する変形を線形レオロジーでモデル化するのが妥当である。
著者
関連論文
- 兵庫県南部地震(1995年1月17日)におけるGPS観測
- 屈折法人工地震探査による九州東部の地殻構造II
- 人工地震探査による九州東部の地殻構造 (庄内-串間測線・安心院-田野測線)
- 広帯域地震波形でみた南極大陸縁辺部の地殻構造 -宗谷海岸周辺域を中心として-
- 「1995年地震学夏の学校」総合報告
- 広帯域実体波解析による南極リソスフェアの構造 (総特集 グローバル地震学における意義と展望)
- オリビンの変形機構図に基く後氷期地殻変動に対するアセノスフェアの変形則の推定
- 衝突型の変成帯での地殻マントル間の変形形態の分類 --地震波速度異方性から--
- 六甲断層帯沿いの地震波の減衰
- 地震波速度異方性からみた南極昭和基地下の地殻-マントルのデカップリング
- シンポジウム参加報告 Workshop : Dyanamics of lithosphere and Earth's mantle
- 「南極・昭和基地の広帯域地震データの利用と成果」に関する研究小集会報告
- 海洋底におけるPn波速度の方位依存性とPo相の伝播