食品汚染細菌に対して抗菌活性を示す乳酸菌の分離とその抗菌特性
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概要
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発酵食品を製造するためにスターターカルチャーを用いことは、既に古くから行われており、中でも乳酸菌は、発酵乳、チーズ、酒類、味噌、醤油、肉製品などの製造に重要な役割をはたしている。その役割は乳酸発酵、タンパク質分解、脂肪分解などによって発酵食品に風味を与えるとともに、発酵食品の保存性の向上にも関与している。特に、食品中に発生する病原菌や腐敗菌に対して、スターターカルチャーが顕著な拮抗作用を示すことが最近の研究によって明らかにされ、スターターカルチャーの抗菌性について関心が高まっている。乳酸菌が生産する抗菌性物質には、乳酸をはじめとする有機酸、揮発性脂肪酸、過酸化水素、安息香酸などが知られている。また、乳酸菌はバクテリオシンと呼ばれるタンパク質性の抗菌性物質を生産することも報告されている。乳酸菌の生産するバクテリオシンについては、ディプロコクシン、ナイシン、ヘルベティシンなどの多数の抗菌性ペプチドが単離されている。しかし、これらのバクテリオシンのほとんどが、類縁菌ないしはある種のグラム陽性菌に対して作用するものはまれである。本研究では、発酵食品の製造に有効な抗菌性物質を生産する乳酸菌スターターの検索および抗菌性物質を直接利用した食品の開発に資する目的で、食品汚染細菌に対して抗菌活性を示す乳酸菌を探索した。そして、強い抗菌活性を示す菌株については、その菌株の生産する抗菌性物質の性質を調べた。The 124 strains of lactic acid bacteria in this study were screened for antibacterial activities against food spoilage bacteria. All lactic strains were fermented for 3-5 days in 10% reconstituted skim milk supplemented with 0.5% yeast extract and 0.5% glucose. Culture filtrates from skim milk media adjusted to pH 4.5, centrifuged at 15,000-rpm and filter-sterilized for antagonistic activities by paper disc assays, using Escherichia coli, Pseudomonas fragi, Staphylococcus aureus and Bacillus subtilis as test organisms. One out of 124 lactic strains showed greater inhibitory activities against the 4 test organisms. The strain from lnner Mongolian cheese, designated as IMC-1, belonged to the Lactobacillus acidophilus group and was selected for further studies. This strain showed considerable inhibitory effects against other lactic strains such as Lactobacillus helveticus and Streptococcus thermophilus under conditions that reduced the effects of organic acids. The antibacterial activities against Pseudomonas fragi IFO 3458 were lost at more than ph 5.2 and remaining inhibition rate after treatments at 121℃ for 20 min was approximately 63.5%. The antibacterial substance was extracted from skim milk culture filtrates with ethanol and was passed through Sephadex G-25 columns. It was presumed to be a bacteriocin-like substance with a moleculr weight of 1,000~3,500.
- 1998-02-01
著者
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