アロキサン誘発糖尿病高発症系・低発症系マウスの選抜育種と両系統における膵臓ランゲルハンス島の計量形態学的検討
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概要
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ヒト疾患モデル動物を開発する目的で,古くから実験的糖尿病として知られているアロキサン誘発糖尿病をとりあげ,ICR系マウスを選抜基礎集団として,高発症系,低発症系への選抜育種を20代まで継続し,近交系として確立することができた.得られた結果は以下の通りである. 1.選抜20代における発症率は,高発症系で98.9%,低発症系で0%であった.選抜世代に伴う発症率の変化は,高発症系では13代で98.7%,低発症系では7代で0%に達し,それ以後の世代においては一定の範囲内で推移した.本実験で用いたED50値では,両系統とも,すでに選抜限界に達したものと考えられる.また,本実験で採用した兄妹交配法により,選抜20代における両系統の近交係数値は98.6%となり,両系統は近交系として確立された. 2.選抜20代における血糖値は,高発症系で455mg/dl,低発症系で127mg/dl,を示した.選抜世代に伴う血糖値の変化は,高発症系では8代で395mg/dlとなり,それ以後の世代では350~400mg/dl前後の値で推移した.低発症系では7代で128mg/dlとなり,それ以後の世代では120~130mg/dlの範囲内で推移した. 3.近交系として確立された高発症系,低発症系について,膵臓単位面積に占める膵島面積,膵島数,膵島全細胞に占めるβ細胞数の割合などについて定量形態学的検討を加えたが,コントロール区では,低発症系が高発症系に比較して,いずれの測定値についても有意に多く,またアロキサン投与区においても同様の傾向にあることが確認された.以上の結果から,アロキサンに対する感受性の違いで選抜世代を進めてきた高発症系,低発症系が膵臓組織の定量形態学的特性によって特徴づけられてきていることが確認された。
- 岡山大学の論文
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