日本ウズラにおける血清蛋白質量の遺伝的パラメーターについて
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概要
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本研究は,日本ウズラの選抜育種に関する基礎資料を得る目的で,成長に伴う血清蛋白質量の変化ならびに8週齢雄ウズラの血清蛋白質量の遺伝的パラメーターについて検討した. 材料は当研究室で維持している無作為交配集団から得られた雄75羽と雌75羽のヒナおよび雄1雌3の組合せ15組から作出された282羽の雄ヒナを用いた. 検討した血清蛋白質は総蛋白,アルブミン,グロブリン,A/G比である. 結果は要約すると以下の通りである. 1.血清総蛋白量は雄雌ともに週齢に伴い増加した. 特に雌では,4週齢から6週齢にかけて急激に増加した. アルブミン量は雄雌ともに6週齢時でピークがみられ,雄では6週齢以後減少する傾向が認められた. グロブリン量は雄では6週齢時で最も低い値を示したが,それ以後の週齢では増加した. 雌では2週齢から8週齢時まで増加した. A/G比は雄雌ともに週齢に伴い減少する傾向がみられた. 2.遺伝的パラメーターの推定に用いた8週齢雄ウズラの総蛋白量は2.7g/dl,アルブミン量は0.9g/dl,グロブリン量は1.8g/dl,A/G比は0.59であった. 父母両成分から推定した遺伝率の値は総蛋白壁が0.146,アルブミン量が0.221,グロブリン量が0.207,A/G比が0.262となり,いずれも0.3以下の低い値を示した. 3.血清蛋白質間の表型相関は-0.847から0.888の範囲の値を,また遺伝相関は-0.865から1.002の範囲の値を示した. 総蛋白量とグロブリン量との間およびアルブミン量とA/G比との間には有意な正の相関がみられた. 一方アルブミン量とグロブリン量との間およびグロブリン量とA/G比との間には有意な負の相関がみられた. 総蛋白量と体重との間およびグロブリン量と体重との間には正の遺伝相関がみられたが,その値はいずれも低かった. 4.本実験の結果から,日本ウズラにおける血清蛋白質量の選抜育種は家系選抜が有効であり,また総蛋白量あるいはグロブリン量が多い方向へ選抜された場合には,体重はわずかに増加するものと推察した。
- 岡山大学の論文
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