日本ウズラにおける選抜系統の維持について
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概要
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本研究は,日本ウズラにおける選抜系統の維持に関する基礎的知見を得る目的で,当研究室において6世代にわたって選抜育種されてきた系統を用い,これらの系統を系統内ランダム交配で維持した場合の家系数の推移と,受精率,孵化率,育成率および適応度指数(受精率×孵化率×育成率)の変化について無作為交配群と比較して検討した. 本研究に用いた選抜系統は,高温(45℃)に対する抵抗系・感受系(HR系・HS系),低温(-5℃)に対する抵抗系・感受系(LR系・LS系)および細網内皮症ウィルス(Reticuloendo-theliosis virus)に対する抵抗系・感受系(REV-R系・REV-S系)である. これらの選抜系統はいずれも系統内ランダム交配によって3世代にわたって維持した. 家系数は選抜系統2~17家系,無作為交配群38家系を用いて実験を開始したが,8,9世代では20家系になるように計画した. 受精率,孵化率,育成率および適応度指数は3週間の成績に基づいた. 得られた結果は,要約すると以下の通りである. 1.家系数は,HR系10,HS系3,LR系7,LS系2,REV-R系17,REV-S系15で出発したが,LS系を除く選抜系統ではいずれも世代に伴ない家系数の増加がみられた. HR系,LR系,REV-R系,REV-S系および無作為交配群では20家系が維持できた. 一方LS系では,9世代で家系数が0となり,維持できなかった. 2.受精率,孵化率,育成率,適応度指数は,LS系以外の選抜系統ではいずれも世代に伴ない増加し,回復がみられた. 一方LS系では受精率,孵化率は急激に減少し,回復がみられなかった. これらの形質について選抜系統と無作為交配群とで比較してみると,7世代では選抜系統はいずれも低い値を示したが,9世代では有意な差はみられなくなった. 3.以上の結果から,6世代にわたって選抜育種された選抜系統での受精率,孵化率,育成率,適応度指数は系統内ランダム交配によって回復することが確認された。
- 岡山大学の論文
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