環境 教科の枠を越えたテーマ : わたしたちは青き地球のために何をすべきか
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概要
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1997年12月1日から開催される「地球温暖化京都会議」は21世紀における人類の運命を決める会議となるかもしれない。より以上の便利さと快適さを追求し続けた人類が,そのみかえりとして重大な害悪を生み出してきたのである。環境問題について無責任に危機感を煽るのは間違いではあるが,他人事として人々が無関心でいることはさらに問題である。環境問題は人々の倫理性にかかわる問題なのである。 しかしそれはジレンマに満ちた問題である。ここでは安城市立今池小学校の野村裕子教諭が石原国基校長および加藤善亮教頭をはじめ同僚の先生方の理解と協力をえて2年間にわたり,小学校高学年の子どもだちと一緒におこなった環境問題についての取り組みを紹介する。 野村教諭は次のように述べる。「環境問題は,地球全体の問題である。しかし,その問題の解決は,一人一人の実践にある。」 野村教諭も環境問題が倫理性にかかわる問題であることを了解している。しかしここで紹介する実践の優れている点は,子どもたちに倫理性を強要しない点である。強要された倫理性は子どもたちによって嫌悪され,憎悪されることがある。したがって野村教諭は時間をかけて,教科の枠を越えて,学芸会のような活動も含めて,子どもたちを環境問題に導く。 野村教諭はまた,次のように述べる。「環境問題とは,生活の便利さと質の向上を望む私だちと,そこから引き起こされる環境破壊とのいたちごっこ的問題である。」 野村教諭は環境問題をジレンマに満ちた問題であることを認識している。ここで紹介する実践では小学校高学年の子どもたちがジレンマに満ちた問題の解決に取り組んでいる。大人でも,政治家でも,科学者でも解決に苦慮する問題の解決に取り組むことは,小学校高学年の子どもたちに自信(一人前意識)を与える。現に舩尾が参観した授業(「青き地球を守るために,21世紀に生きるぼくたちのすること」というテーマの発表と話し合いの会:下の写真を参照のこと)では,教師は助言者でしかなく,基本的にすべての運営は子どもたちが行っていた。長い時間をかけ,教科の枠を越えて,子どもたちの自己活動を尊重した野村教諭の実践が確かな成果を達成したことは,子どもたちの追跡調査の結果からも分かる。
- 愛知教育大学の論文
- 1998-03-29
著者
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