直接加熱法と間接加熱法で殺菌したUHT牛乳における水溶性ビタミンとホエータンパク質の残存性の比較 : 特に予備加熱の影響について
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概要
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UHT殺菌法には,直接加熱法と間接加熱法とがあり,後者は予備加熱を伴うため一般に成分変化が大きいと考えられている.本研究では,両殺菌法が牛乳成分に及ぼす影響の差異をより明確にするため,直接UHT殺菌と,予備加熱を伴う通常の間接UHT殺菌および予備加熱を伴わない間接UHT殺菌を施した牛乳におけるホエータンパク質(α-ラクトアルブミンとβ-ラクトグロブリン)と水溶性ビタミン(アスコルビン酸,ビタミンB2および葉酸)の残存性を調べ比較検討した.また水溶性ビタミンについては保存の影響についても検討を加えた.その結果,直接加熱区のα-ラクトアルブミンとβ-ラクトグロブリンの残存率は,予備加熱を施した場合とそうでない場合のいずれの間接区と比較しても有意に高かったが,両間接区間,すなわち予備加熱の有無による差異はほとんどみられなかった.また,ウェスタンブロット法により各種UHT殺菌牛乳におけるラクトフェリンの残存性について確認したところ,直接UHT殺菌乳においてのみバンドが検出された.一方,水溶性ビタミン類についても直接区の方が残存性はより高い傾向にあった.低温下で保存した場合の水溶性ビタミン類の変化は,いずれのビタミンも保存週数の経過に伴って漸次低下し,中でもアスコルビン酸とビタミンB2は,間接加熱区の方がより低下する傾向がみられた.
- 社団法人日本畜産学会の論文
- 2009-02-25
著者
-
林 利哉
名城大学農学部
-
藤野 槌美
名古屋製酪
-
服部 篤彦
名古屋製酪株式会社中央研究所
-
加藤 恵一
名古屋製酪株式会社中央研究所
-
芳賀 聖一
名城大学農学部
-
藤野 槌美
名古屋製酪株式会社中央研究所
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