岩手県におけるヘア・トラップの実施状況と今後の課題
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概要
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本稿では,岩手県が実施してきたヘア・トラップ調査の実施状況を報告し,その際に提起された様々な問題点を挙げ,それらを克服するための今後の方針について論ずる.これまで岩手県では直接観察によってツキノワグマ(Ursus thibetanus)の生息数を推定していたが,さらなる精度向上をめざしてヘア・トラップ調査を2004年から継続して実施している.調査の経験から,ヘア・トラップという手法に関する様々な問題点が提起されている.まずトラップの構造上の問題点が挙げられる.有刺鉄線を1本使用したトラップでは体毛回収率(設置トラップ数に対する体毛付着トラップ数の割合)は約8割であった.そこで有刺鉄線を2本用いる構造に改良したところ,体毛は全てのトラップで回収できた.また8月以降に採取された体毛からは遺伝子解析率が下がる傾向が見られたため,この現象は夏の気温と湿度によって体毛中のDNAの劣化や分解が原因と推察された.そしてヘア・トラップを設置する場所が制限される問題もある.急な斜面や地面の凹凸が大きい場所による地形的な制約などがヘア・トラップを設置する場合の障害となっているため,地形の状態に左右されない新しいトラップの開発が必要である.今後はこれらの検討課題を一つずつ克服することで,ヘア・トラップ調査による生息数の推定に向けた検討を行っていきたいと考えている.
- 2008-06-30
著者
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山内 貴義
岩手県環境保健研究センター
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齊藤 正恵
岩手大学連合農学研究科
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齊藤 正恵
岩手大学大学院連合農学研究科生物環境科学専攻
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YAMAUCHI Kiyoshi
Research Institute for Environmental Sciences and Public Health of Iwate Prefecture
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齋藤 正恵
東京農工大学フロンティア農学教育研究センター
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齊藤 正恵
東京農工大学農学部
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