岩手県における野生動物の保護管理(<特集>21世紀の狩猟と野生動物管理を考える,第13回日本野生動物医学会大会シンポジウム)
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概要
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岩手県は広大な面積を有し,多くの野生動物が生息している。ツキノワグマは,岩手県のほぼ森林全域に生息し,国内でも非常に大きな個体群を形成している。ニホンジカはかつて東北地方に広範囲に生息していたが,明治期からの乱獲と豪雪によって生息数が激減し,五葉山周辺のみの分布となった。ニホンカモシカも過去の乱獲によって個体数が減少し,特別天然記念物として保護されている。ところが1980年代頃からこれらの動物による農林業被害が深刻化したことから,岩手県では特定鳥獣保護管理計画(以下,特定計画)が施行された。特定計画を遂行するうえで重要な情報を提供するモニタリング調査は,その多くが狩猟者の協力のもと毎年継続して実施されている。これらの調査を継続しながら適切な野生動物の保護管理をめざしているが,正確な生息頭数を把握することが非常に困難であること,また生息域が急激に拡大して人里への出没が増加していること,さらに狩猟者が激減していることなど,さまざまな課題も発生している。これらの問題を克服するためには,新たなモニタリング調査技術の導入,分布拡大の抑制といった,地域と一体になった取組みを推し進める必要がある。
著者
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山内 貴義
岩手県環境保健研究センター
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YAMAUCHI Kiyoshi
Research Institute for Environmental Sciences and Public Health of Iwate Prefecture
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