岩手県南地方における黒毛和種集団の産肉性形質に関する統計遺伝学的解析
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概要
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岩手県南地方における黒毛和種集団の育種の妥当性を検証するため岩手県前沢町から出荷された黒毛和種肥育牛3,467頭のフィールド記録を用いて,産肉性形質に関する遺伝的パラメータ,育種価および遺伝的趨勢を推定した.産肉性形質に与える有意な環境要因の影響では,BMSの最良線形不偏推定量が年を経るごとに減少することが注目された.産肉性形質の遺伝率はBMS 0.66, DG 0.51,枝肉重量0.64,ロース芯面積0.36,バラ厚0.25,皮下脂肪厚0.33といずれも中程度から高めであった.BMSとその他の産肉性形質の間の遺伝相関はDG 0.1,枝肉重量0.18,ロース芯面積0.48,バラ厚0.37,皮下脂肪厚−0.24であった.遺伝的趨勢を見ると1991年を境としてBMSと皮下脂肪厚を重視した改良が進められ,枝肉重量は考慮されていない様子がうかがえた.一方,同年を境に同町産の肥育牛の肉質等級は年々低下する傾向にあるが,この原因は改良以外の要因にあると推察された.
- 社団法人日本畜産学会の論文
- 2003-05-25
著者
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佐々木 義之
京都大学大学院農学研究科
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揖斐 隆之
安愚楽共済牧場
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揖斐 隆之
京都大学大学院農学研究科応用生物学専攻
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川田 啓介
牛の博物館
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兼松 重任
牛の博物館
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黒澤 弥悦
牛の博物館
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揖斐 隆之
京都大学大学院農学研究科
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揖斐 隆之
京都大学大学院農学研究科動物遺伝育種学研究室
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黒澤 弥悦
前沢町立牛の博物館
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黒澤 弥悦
鹿児島大学 農
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黒澤 弥悦
奥州市牛の博物館
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佐々木 義之
京都大学 大学院農学研究科動物遺伝育種学
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KUROSAWA Yaetsu
The Cattle Museum
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