黒毛和種におけるウシ Claudin-16 (CL-16) 欠損症遺伝子型と産肉成績との間のアソシエーション解析
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概要
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黒毛和種の常染色体性劣性遺伝性疾患であるClaudin-16 (CL-16 ) 欠損症の原因となる変異遺伝子 (原因遺伝子d ) と産肉成績との関連性についてアソシエーション解析を行った. 原因遺伝子d キャリア種雄牛3頭 (Sire-1〜-3) の産子である肥育牛464頭とSire-1の産子である繁殖雌牛140頭のCL-16 遺伝子型を検査した結果, 肥育牛では正常遺伝子ホモ型 (DD ) 234頭およびキャリア (Dd ) 230頭であった. 繁殖雌牛では正常遺伝子ホモ型 (DD ) 60頭およびキャリア (Dd ) 80頭であった. 3頭のキャリア種雄牛は共通した祖先を持ち, その共通祖先牛はキャリア牛であることが確認されている. CL-16 遺伝子型と産肉成績との関連性を調べるため, CL-16 遺伝子型を要因として, 産肉成績について最小二乗分散分析を行った. 種雄牛間の変動は皮下脂肪厚を除いてすべての形質で有意であった. 性の影響は枝肉重量で, 農家についてはBMSナンバー, 枝肉重量及びバラの厚さで有意差が認められた. このように産肉成績に関与する環境要因を取り除いてもCL-16 遺伝子型の産肉成績には有意差は見られなかった. 繁殖雌牛のSire-1産子140頭の産肉形質に関する予測育種価も, 原因遺伝子d と有意に関連する結果は得られなかった (P>0.05). また, 136頭で構成されるSire-1の父方半兄弟家系を用いて連鎖解析を行ったが, CL-16 遺伝子座領域 (約30cM) は上記の形質に関する有意な連鎖は認められなかった (P>0.05). したがって, CL-16 欠損症の発症を避けるため原因遺伝子d を集団から排除しても産肉成績に影響する危険性は少ないと考えられる.
- 社団法人日本畜産学会の論文
- 2002-02-25
著者
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平野 貴
(社)畜産技術協会附属動物遺伝研究所
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杉本 喜憲
(社)畜産技術協会附属動物遺伝研究所
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小林 直彦
岐阜県畜産研究所
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大谷 健
岐阜県畜産研究所
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小林 直彦
岐阜県肉用牛試験場
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揖斐 隆之
京都大学大学院農学研究科応用生物学専攻
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揖斐 隆之
京都大学大学院農学研究科
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杉本 喜憲
畜産技術協会附属 動物遺伝研究所
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杉本 喜憲
熊本県農業研究センター畜産研究所
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杉本 喜憲
岩手県農業研究センター畜産研究所
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杉本 喜憲
畜産技術協会
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小林 直彦
岐阜県畜産研
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杉本 喜憲
(社)畜産技術協会動物遺伝研究所
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