脂肪交雑、胸最長筋内の脂肪酸組成に影響する遺伝子座の同定
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概要
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黒毛和種の経済形質、特に脂肪交雑やロース芯内脂肪酸組成の肉質形質を支配するQTL領域を明らかにするために、和牛集団でQTL解析を行った。飛騨白清の産子である肥育牛353頭について、254個のマイクロサテライトマーカーを全染色体に配置し、ゲノムワイドのQTL解析を行った。その結果、Chromosome-wise5%有意水準でBTA2、BTA7、BTA20、BTA24の4箇所に脂肪交雑に関するQTL候補領域を検出した。さらに、Chromosome-wise5%有意水準でBTA19の46.0cMに筋肉内脂肪のオレイン酸(C18:1)含量に関するQTL候補領域を検出した。脂肪交雑に関するQTLを決定するために、BTA2、BTA7、BTA20、BTA24の脂肪交雑に関すQTL候補領域にマイクロサテライトマーカーを52個追加し、解析頭数を524頭に増やして2次スクリーニングを行った。4箇所のQTL候補領域の父由来ハプロタイプが確定した個体(369頭)について、これら4箇所のハプロタイプの種類と脂肪交雑(BMS No.)について比較した。QTL候補領域4箇所の2番染色体(BTA2)と、7番染色体(BTA7)、20番染色体(BTA20)、24番染色体(BTA24)の脂肪交雑に効果のあったハプロタイプを各々Q2、Q7、Q20、Q24とし、効果のないハプロタイプをq2、q7、q20、 q24とした。効果のあるハプロタイプQを全て保有する個体(Q2Q7Q20Q24)は21頭でそのBMS No.平均直、標準偏差 は7.24±2.45、Q2Q7Q20q24が24頭で6.75±2.311、Q2Q7q20Q24が21頭で6.81±2.23、Q2Q7q20q24 が24頭で6.50±1.96、Q2q7Q20Q24が22頭で7.12±1.80、Q2q7Q20q24が25頭で7.00±2.37、Q2q7q20 Q24が28頭で6.79±2.13、Q2q7q20q24が21頭で5.90±2.33、q2Q7Q20Q24が18頭で7.00±2.23、q2Q7Q20q24が22頭で6.45±2.30、q2Q7q20Q24が21頭で6.47±1.65、q2Q7q20q24が24頭で7.00±1.97、 q2q7Q20Q24が16頭で6.88±1.77、q2q7Q20q24が29頭で5.86±1.83、q2q7q20Q24が24頭で5.63±2.00、q2q7q20q24が29頭で5.52±1.75であった。各タイプのBMS No.平均値には、Q2Q7Q20Q24とq2q7q20q24に有意差(p<0.01)がみられた。以上の結果から、脂肪交雑に効果のある4箇所のQTL候補領域のハプロタイプQは、相加的効果を持つことが示唆された。これら4箇所のQTL候補領域の優良ハプロタイプによりウシの選抜を行えば、効率的な脂肪交雑能力の改良が期待できる。今後これらのQTL候補領域の効果検証を実施する予定である。
- 岐阜県畜産研究所の論文
- 2009-07-00
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