黒毛和種肥育牛の枝肉形質および脂肪酸組成とFASN、SCD、SREBPl、GH の遺伝子多型との関連

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筋肉内脂肪の質は牛肉の肉質を特徴づける重要な因子である。脂肪の質は含まれる各種脂肪酸の割合によって決定される。脂質代謝に関わる遺伝子の中で、脂肪酸合成酵素FASN、ステアリル酸-CoA不飽和化酵素SCD，ステロール調節配列結合蛋白質SREBP1、そして成長ホルモンGHの各遺伝子上にはそれぞれ1ヶ所以上の多型部位が報告されている。そこで本研究では黒毛和種肥育牛を用いて、胸最長筋内脂肪の脂肪酸組成や枝肉形質に対する4遺伝子上の5種類の遺伝子多型の単独効果とエピスタシス効果を調べた。その結果、FASN、SCD、そしてGH L127Vについて脂肪酸結成に対する単独効果が検出された。中でもSCD上に存在するA293V多型はミリスチン酸(C14:0，P＜0.001)、ミリストレイン酸(C14:1，P < 0.001)、ステアリン酸(C18:0，P < 0.001)、オレイン酸(C18:1，P ＜ 0.001)、そして一価不飽和脂肪酸(MUFA、P ＜ 0.001)について最も大きな効果を示した。FASN、SCD、GH L127Vの3遺伝子マーカーはC18:1割合に対する遺伝分散の20%以上を説明しており、それぞれの遺伝子マーカーが成績の低い遺伝子型から高い遺伝子型に換わった場合、C18:1割合は4.46%高くなると推定された。脂肪酸組成に対するエピスタシス効果は脂肪酸合成関連の3遺伝子(FASN、SCD、SREBP1) 中では、どの2遺伝子間でも見出されなかった。一方、同一染色体上に存在するFASN、SREBP1、GH L127Vの間では各々の効果内に連鎖する別の遺伝子の影響が認められた。FASN、SCD、そしてSREBP1は、枝肉形質のうち肉量形質に対しては単独効果が検出されなかった。FASNとSCDの間では、枝肉形質でもエピスタシス効果は認められなかった(P＞ 0.1)。以上の結果から、脂肪酸合成に関わる2遺伝子(FASNとSCD)は胸最長筋内脂肪の脂肪酸組成に対して独立に影響していること、一方C18:1の割合を高くする方向に2遺伝子の遺伝子型を選抜した場合にも枝肉形質に対しては負の影響を与えないことが示され、FASNとSCD上のSNPは黒毛和種の脂肪酸組成を改良する際に有効なDNAマーカーとなることが示唆された。
2010-07-00

黒毛和種肥育牛の枝肉形質および脂肪酸組成とFASN、SCD、SREBPl、GH の遺伝子多型との関連

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