家庭科における問題解決的な学習の現状と課題 : 家庭科教員に対する質問紙調査をもとに
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概要
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本研究では,家庭科における問題解決的な学習の現状と課題について,現場教員に対する質問紙調査によって明らかにすることで,大学における家庭科教員養成カリキュラム及び現場教員に対するエンパワーメントプログラムを提案するための基礎資料を得ることを目的とする。 2010年8月,小中高の教員59名(有効回収57名)を対象にした質問紙調査の結果,調査対象者の3分の1の教員が問題解決的な学習の実践経験を持っていた。実践の領域・テーマは多岐にわたり,調べ学習やグループワーク等の体験的活動が取り入れられていた。 多くの教員は,児童・生徒が問題解決的な学習に対して「自主的・主体的・意欲的・熱心」に取組み,それによって「思考力・創造力・実践力の獲得」につながるといった効果があると感じていた。また,教員の「生徒理解・生活実態の把握」に役立つ可能性も示唆された。教員に対するエンパワーメントや周辺環境の整備のほか,家庭科における問題解決的な学習の効果・価値を組織的にアピールしていくことが課題である。The purpose of this study was to clarify how “problem based learning” was actually practiced in home economics education, by means of questionnaire survey to home economics teachers in August 2010. The data of 59 teachers in primary schools, junior high schools, and high schools were analyzed. The results were as follows ;1. 33 percent of teachers had practiced “problem based learning”.2. The wide variety of theme was applied in “problem based learning” and investigative work and group activities were well utilized.3. Many teachers considered that students positively tackled with “problem based learning” which may nurture their thinking skill and creative consideration. Also, it was suggested that these learning may be helpful for teachers to understand students better.
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