セルオートマトンとGAを用いた仮想都市の時系列的生成手法

概要

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本論文では, 仮想都市を時系列的に自動生成する新たな手法を提案する.建物位置をセルオートマトン(CA), 時系列変化を遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて生成する.本手法により, 市街地における特化地区(住宅街, 高層ビル街など)の形成, ならびに, 市街地形成のプロセス表示(都市の時系列的な推移の表示)を実現することができた.都市を生成する領域を2次元のセルに分割し, セルの状態を空地, 道路(幹線道路・区画道路), 建物(住宅・商店・マンション・オフィス)とすることで都市を表現する.セルの状態は「建物配置ルール」により決定し, ルールの適用順で都市の時系列変化を表現する.建物数の比, 地区の規模, 時系列変化パターンに対するユーザからの要求の充足度をGAの適応度関数とすることにより, ユーザの要求する都市を実現する.先行研究として, CAを用いた土地利用状況の予測やGAをCADやアートに応用した研究も報告されている.しかし, 前者は新しいパターンの都市を生成することはできない.後者は, 大規模な問題は扱っていない.本論文では, 実際の都市の特徴を有する, 数千軒以上の建物からなる実用規模の仮想都市生成を対象としており, 従来の研究とは目的が異なっている.本論文では次の生成例を示している.まず, 同じ建物種ばかりの均一な都市, 地区のくっきりと分かれている計画都市のような整然とした都市, ランダムに建物の建ち並ぶ雑然とした都市, 雑然としたなかにもまとまりのある地区を含んだ複雑な都市の生成例を示している.次に, 時系列的な推移として, まず一つの小規模の地区が形成されこれが成長して一つの中規模の地区が形成されている場合と, 最初に二つの小規模の地区が形成されこれらが合併して中規模の地区が形成されている場合を再現している.さらに, 市街地形成において, 中期には建物の棟数が大きく増加し, 前期と後期はあまり増加しないS字型の特性を再現している.本手法を都市計画やまちづくり分野へ応用するためには, 実際の市街地形成プロセスと一致するように, パラメータ値を調整するとともに, 適応度関数に建物の戸数を指定できるようにすることが必要である.また, 建築基準法をルールに取り入れることも必要となる.
人工知能学会の論文
2001-01-01

セルオートマトンとGAを用いた仮想都市の時系列的生成手法

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