W5-5 再発寛解型多発性硬化症の病態におけるIL-6依存性プラズマブラスト
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概要
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【背景・目的】再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の約30%は第一選択薬インターフェロンβ(IFN-b)不応性である.我々は,類縁自己免疫疾患,視神経脊髄炎(NMO)におけるIL-6依存性プラズマブラスト(PB)による自己抗体産生,及び同細胞群の末梢血中での増加を報告し(PNAS 108 : 3701, 2011),治験にて抗IL-6受容体(IL-6R)抗体Tocilizumabの有効性を確認した(Mod Rheumatol 23 : 824,2013).典型的RRMSとは対照的にNMOはIFN-bにより増悪するため,RRMS同薬不応例はNMOと病態を共有する可能性が疑われる.そこで,RRMSでのIL-6依存性病態について検討した.【対象・方法】RRMS(n=67),健常人(n=11)の末梢血PBをflow cytometer,及びNanoString nCounter gene expression systemを用いて解析した.【結果】末梢血PB頻度はIFN-b反応例に比して不応例で有意に高く(p<0.0001),健常人PB頻度に基づき分類したPB-low,及びPB-high MS由来のPBでは,免疫制御関連遺伝子(CDKN1A,TNFAIP3など)発現プロファイルの相違を認めた(p<0.05).PBでのIL-6Rの発現はPB-high MSで有意に高く(p=0.0073),培養PB生存率はPB-high MSでのみIL-6依存性を示した(p=0.0142).患者末梢血単核細胞の血清培養では,PB-high MSでのみ抗IL-6R抗体によるPB生存率の有意な低下を認めた(p=0.0078).【結論】PB-high MS病態へのIL-6依存性PBの関与が示唆され,抗IL-6R抗体治療の有効性が期待される.
- 日本臨床免疫学会の論文
著者
-
村田 美穂
国立精神・神経センター武蔵病院神経内科
-
山村 隆
国立精神・神経センター武蔵病院神経研究所免疫研究部
-
岡本 智子
国立精神・神経センター病院神経内科
-
三宅 幸子
国立精神・神経センター神経研究所・免疫研究部
-
林 幼偉
国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部
-
荒浪 利昌
国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部
-
佐藤 和貴郎
国立精神・神経医療研究センター神経研究所 免疫研究部
-
中村 雅一
国立精神・神経医療研究センター神経研究所 免疫研究部
-
松岡 貴子
国立精神・神経医療研究センター神経研究所 免疫研究部
-
荒木 学
国立精神・神経医療研究センター 多発性硬化症センター
-
中村 雅一
国立精神・神経医療研究センター病院 多発性硬化症センター
-
松岡 貴子
国立精神・神経医療研究センター病院 多発性硬化症センター
-
荒浪 利昌
国立精神・神経医療研究センター病院 多発性硬化症センター
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