P5-01 視神経脊髄炎におけるヒト化抗IL-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブの免疫調節効果について
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概要
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【背景】これまでに当研究部は,視神経脊髄炎(neuromyelitis optica, NMO)において抗アクアポリン4抗体産生細胞プラズマブラスト(plasmablast, PB)の生存がIL-6受容体シグナル伝達に依存することを示した.これを受けて立ち上げたヒト化抗IL-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブ(Tocilizumab, TCZ)のNMOにおける安全性と効果を評価する調査研究で,TCZ投与後にNMO患者のPB減少が認められ,TCZの標的の一つはPBである可能性が示唆された.【目的】内因性IL-6は多様な免疫細胞の機能に影響し免疫平衡を崩しうるため,NMOにおけるTCZ治療の免疫平衡是正効果について解析した.【方法】5人のNMO患者に8 mg/kgのTCZを毎月1回,6ヶ月間投与し,各回投与前と初回投与後5日目の血液検体を採取した.フローサイトメトリーでCD56high制御性ナチュラルキラー細胞(CD56high NK),粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT),CD25陽性制御性T細胞(Treg)を解析した.【結果】5人のNMO患者のうち3人で,TCZ治療によりCD56high NKが漸増した.また,TregとMAITも漸増していた.【結論】これらの結果は,IL-6受容体シグナル伝達の遮断により,NMOの制御性細胞の異常や無調整状態にあった免疫ネットワークが是正された可能性を示唆すると考える.
著者
-
千葉 麻子
順天堂大学医学部呼吸器内科
-
山村 隆
国立精神・神経センター武蔵病院神経研究所免疫研究部
-
荒浪 利昌
国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部
-
荒木 学
国立精神・神経医療研究センター 多発性硬化症センター
-
中村 雅一
国立精神・神経医療研究センター病院 多発性硬化症センター
-
三宅 幸子
順天堂大学 免疫学講座,国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所 免疫研究部
-
松岡 貴子
国立精神・神経医療研究センター病院 多発性硬化症センター
-
荒木 学
国立精神・神経医療研究センター病院 多発性硬化症センター
-
荒浪 利昌
国立精神・神経医療研究センター病院 多発性硬化症センター
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