生〓系酒母中の乳酸菌々相を決定する因子
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概要
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生〓系酒母でLactobacillus saké, Leuconostoc mesenteroidesの二種が卓越的に増殖する理由に就いて実験を行った. (1) L. sakéは生育に或種のペプタイドを必要とし,これが麹汁より清酒中に多量存在するので,生育因子の酒母中での消長を検討し,これがAsp. oryzaeの酸性プロテアーゼ作用に由来することを知った. (2)純粋に作つた米麹に殺菌水を加え, L. saké, Leuc. mesenteroidesの培養をなし, L. sakéがLeuc. mesenteroidesに従属して生育するのでなく,単独でも充分生育することが判った. (3)これらの両種は他の乳酸菌に比べ低温(4°)でも生育可能であることを知ったが,生〓配系酒母に於てこれら両種が優越する理由は酒母育成が低温度で行われるために外ならぬとの結論に達した. (4) L. batatas, Pediococcus, Streptococcusに属する菌株が時々酒母中に検出されるのも,これらの菌がL. saké, Leuc. mesenteroidesには劣るが,比較的低温でも生育できるためであろう.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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