馬鈴薯脂質分解酵素のサブユニット構造とその再構成
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概要
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馬鈴薯塊茎中に存在する脂質分解酵素のサブユニット構造を調べ,ついで分離したサブユニット画分を透析処理によって再会合させ,酵素蛋白質の再構成および酵素活性の回復について検討した. (1) 酵素蛋白質は,8M尿素,5mM EDTA処理により,分子量それぞれ約17,000および4000の少なくとも2成分に解離した.解離蛋白質の等電点は,native酵素よりも酸性側にあり,3.7および3.4であった. (2) 1% SDS処理では,酵素蛋白質は分子量,約39,000,22,500および14,500の3成分に解離した. (3) 上記尿素またはSDS処理の際,5%メルカプトェタノールを添加して行うと,いずれの場合も分子量約4000のペプチドに解離した. (4) 透析処理によって,解離蛋白質の再会合が認められ,酵素活性は,ガラクトリパーゼ活性およびホスホリパーゼ活性いずれもnative酵素の活性の10〜15%に回復した.酵素活性の回復は,Ca2+が存在しないと認められず,Mg2+ではわずかしか認められなかった. (5) 再構成された酵素は,分子量およびガラクトリパーゼ活性とホスホリパーゼ活性の活性の比がいずれもnative酵素のそれとほぼ同じであった. (6) 以上の結果から,馬鈴薯酵素のサブユニット構造とその会合式について検討し,Ca2+の役割について考察した.
著者
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松田 英幸
島根大学農学部農芸化学科食品化学研究室
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平山 修
島根大学農学部生物資源科学科生物資源化学講座
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平山 修
島根大学農学部農芸化学科食品化学研究室
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松本 妙子
島根大学農学部農芸化学科
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平山 修
島根大学農学部
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松田 英幸
島根大学農学部
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