光合成細菌Rhodopseudomonas spheroides S株の色素成分ならびに色素生成におよぼす無機塩の影響

概要

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光合成細菌利用の基礎研究として, Rhodopseudomonas spheroides S株(新株)の色素成分ならびに色素生成に与える無機塩の影響を調べた.また,同じ実験を従来のvah Niel株についても行い,性質を比較した. S株は嫌気明培養で多量の色素を生成し,その主成分はbacteriochlorophyll a, spherbidene, spheroidenoneであった.他に微量成分としてbacteriophaeophytin a, neurosporene, OH-spheroidene, OH-spheroidenone, demethylated spheroidene, spirilloxanthinなどが生成された.また,好気暗培養においても少量の色素が生成され,その組成はspheroidenone, OH-spheroidenone, spirilloxanthin, 2-ketospirilloxanthin, bacteriochlorophyllの前駆体などからなっていた.他方,本菌は半嫌気明培養においてポルフィリンを分泌し,その主成分はcoproporphyrinであった. FeCl3, MgSO4は, S株におけるバクテリオクロロフィルおよびカロチノイドの生成を著しく促進した.またポルフィリンの分泌はMnCl2, MgSO4, NaClなどで促進され, FeCl3によって強く抑えられた. van Niel株はS株と類似した色素組成をもち,色素生成に与える無機塩の影響も互いに似ていた.しかし, FeCl3によるカロチノイドの生成促進効果は, van Niel株に比べてS株の方がきわめて高い値を示し,両株の間に差異が認められた.
社団法人日本農芸化学会の論文