米ヌカ層に存在する脂質分解酵素の精製ならびに性質
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概要
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米ヌカ層に存在する脂質分解酵素,リパーゼ,ガラクトリパーゼおよびボスホリパーゼを抽出精製し,その特性を調べた.また,これらの酵素の米貯蔵時における作用を考察した. (1) ゲルろ過, DEAE-セファデックスA-50カラムにより,米ヌカリパーゼ,ガラクトリパーゼ,ホスホリパーゼをそれぞれ100〜300倍に純化した.ただし,各酵素を完全に相互分離することはできなかったので,酵素混合物として性質を調べた. (2) 各酵素の分子量はゲルろ過によって,いずれも約4万と推定された. (3) DEAE-セファデックスカラムによって,リパーゼは3成分,ガラクトリパーゼは4成分,そしてホスホリパーゼは2成分に分離された. (4) 蛋白質修飾試薬その他から,リパーゼ活性部位にはセリン残基,ガラクトリパーゼにはセリンおよびシスチン残基,そしてホスホリパーゼにはセリンおよびシステイン(多分)残基が関与していることが示唆された. (5) ヌカGLase, PLaseの活性は光酸化で促進され、ヒスチジン添加で阻害された.しかし,リパーゼ活性はこれらの処理で影響されなかった. (6) 本酵素標品はガラクト脂質,リン脂質のジアシル型およびモノアシル型脂質を脱アシル化した.この場合,ガラクト脂質の1位,トリグリセリドの1, 3位が比較的速く分解され,リン脂質では位置選択性はほとんどみられなかった. (7) 低温貯蔵における玄米の品質低下には,ガラクトリパーゼ,ホスホリパーゼが大きく関与することが推測された.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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松田 英幸
島根大学農学部農芸化学科食品化学研究室
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平山 修
島根大学農学部生物資源科学科生物資源化学講座
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平山 修
島根大学農学部農芸化学科食品化学研究室
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平山 修
島根大学農学部
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松田 英幸
島根大学農学部
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松田 英幸
島根大学農学部農芸化学科
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