ホウレンソウ貯蔵時における脂質および色素の成分変化
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概要
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ホウレンソウな種々の条件下に貯蔵し,貯蔵中における脂質および色素の成分変化を調べた. (1) ポリエチレン袋による封入貯蔵は,貯蔵温度44°Cにおいて各成分の分解を促進した.封入と開放の両条件下では分解のパターンも異なり,封入貯蔵ではクロロフィルbが,また開放貯蔵ではクロロフィルaがより早く分解された.violaxanthinの分解率は貯蔵条件にとくに大きく支配された. (2) 脂質は貯蔵初期から色素より高い分解率を示した.生葉貯蔵において,糖脂質はリン脂質よりもつねに早く分解消失した. (3) 貯蔵前の予備加熱処理(100°C,3分間)は色素,糖脂質の分解を抑制し,他方,リン脂質の分解を促進した.-100°C貯蔵においても,この加熱効果は部分的に認められた. (4) 加熱処理葉の貯蔵において次のようなリン脂質の分解経路がみられた. {lecithin phosphatidyl inositol}→ {phosphatidyl glycerol diphosphatidyl glycerol}→ phosphatidic acid (5) 貯蔵中における緑葉野菜は,その変色に先立って光合成組織の破壊を大きく進めていることを推察した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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