毛髮の化学的研究 : (第1報)毛髮中の含硫アミノ酸特にランチオニンについて
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概要
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毛髪を2%炭酸ソーダで処理した時の毛髪中の硫黄形態の変化をしらべた結果,毛髪は約3%のstable Sを含み大部分の硫黄はlabile Sであり,その一部は2%炭酸ソーダ溶液による煮沸に安定であり且つシスチン以外の不明のlabile Sである事を明かにした.該処理によつてシスチンの大部分は破壊されるが,その約10%は90分加熱によつても尚残存する事,又同時にシスチンの一部が2次的にランチオニンに変化する事を推定した.他方毛髪を臭素水酸化する時全硫黄の約7%が硫酸として得られた.しかもこの硫黄は2%炭酸ソーダ処理に対し安定で炭酸ソーダ処理毛髪からも同様に得られた.従つてこの硫黄はシスチン以外のlabile Sであり,上記不明のlabile Sとその性質が一致した.ランチオニンを臭素水で同様処理すると硫酸を生ずる事を認め且つランチオニンは2%炭酸ソーダ処理に対しても安定であるから,上記正体不明の硫黄に対するランチオニンの寄与を推定した.即ちこの正体不明の硫黄は大部分ランチオニンからなる事,換言すれば毛髪中には天然アミノ酸としてランチオニンが存在する事を推定した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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