オニヒトデの毒素成分に関する研究 : 第 1 報 棘皮中に存在する毒素の分離と 2,3 の性質について(農芸化学科)
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概要
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オニヒトデの棘皮中に存在する毒素を硫安分画, 等電点分画およびSephadex G-75カラムクロマトグラフィーなどの方法により分離し, それぞれの画分において, マウスに対する致死作用および溶血作用を比較検討し, 2,3の理化学的性質について調べた。その結果, 抽出液から硫安分画に至る毒性は約5.5倍に上った。Sephadexカラムクロマトグラフィーまでは, 抽出液から約2.2倍で硫安分画の段階よりも, むしろ毒性の低下が認められたけれども, 溶血作用は, ゲル濾過の段階で抽出液の溶血指数に対して約1/14に低下した。これらのことから, 本実験で分離した毒素は致死作用を有し, 溶血作用物質とは異なる成分ではないかと考えられた。この毒素は非透析性であり, 60℃で失活し, またpH3以下, pH10以上で失活することが認められ, さらに凍結, 解凍をくり返すと失活することから, 蛋白様物質であることが推定された。終りに, 本研究に使用したオニヒトデ採取に, 多大な御協力をくださいました本部町役所経済課の喜屋武義和氏, および今帰仁村役所経済課の皆様に深く感謝致します。また, 本研究に当り終始御懇切なる御指導を賜りました九州大学農学部船津軍喜助教授および東北大学農学部安元健助教授に深甚の謝意を表します。
- 琉球大学の論文
- 1975-12-01
著者
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