Na-p-Aminosalicylate (PAS)による蛋白質の変性に関する研究 : (第6報)卵アルブミンとPASとの結合について
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概要
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透析平衡法によって卵アルブミンに対するPASの結合量を種々の条件で測定し次の結果を得た. 1. 0.75%以下の濃度の卵アルブミン溶液を用いるとドナン効果の影響を無視しうる. 2. PASの結合は二段階に進行する.即ち低濃度PAS溶液に於ては変性が起らず結合は主として蛋白質表面で行われるがPAS濃度の増大と共に変性が起りPASは蛋白質分子内にも結合し結合量は急増する. pH 7.4に於て変性時のPASの最大結合量は卵アルブミン1Mに対し1350Mであった. 3. 結合に及ぼすpHの影響は蛋白質及びPASの解離に関連するもので,pH 8.5前後に於て結合量は最低となりその両側pHに於て増大した.特に酸性側に於て結合量は大でPASのNH2及びOHによる水素結合に帰因する事を推論した. 以上の結果蛋白質の変性はPASと蛋白質との結合に支配され,且つ一旦解離したペプチド鎖はPASとの結合を通じて再結合される事を推論した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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