疫学的研究における脳卒中患者の把握と診断

概要

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新潟県S市某地区において脳卒中の疫学的研究が実施されている。本論文では, この研究における脳卒中患者の把握と診断の方法について検討した。脳卒中患者の把握のために, 次の情報源が利用されている。すなわち, 年1回の集団検診, 開業医および病院からの届出, 保健婦や住民組織からの情報, 消防本部の救急車出動記録・国民健康保険のレセプト・死亡診断書の定期的閲覧などである。研究に従事している医師は, 届出患者を家庭訪問して診察を実施した。全情報は, 一定の書式に整理された。3人の医師がそれを検討し, 脳卒中と非脳卒中, および脳卒中の病型鑑別の診断を行った。患者の60%以上の診断は, 現病歴 (臨床経過, 臨床症状など) と一般および神経学的理学検査に基づく, いわゆる“臨床診断”によってなされ, 生化学的検査, レントゲン検査, 特殊補助検査 (髄液検査, コンピューター断層撮影, 脳血管造影など) などの精密検査に関する情報は得られなかった。そこで, 3人の医師による“臨床診断”の妥当性を, コンピューター断層撮影および他の精密検査結果と比較することによって検討した。全脳卒中に対する感度 (Sensitivity) は97.2%, 特異度 (Specificity) は97.9%であった。両方法間の一致率は, くも膜下出血68.4%, 脳出血86.0%, 脳梗塞82.4%であった。このように, 充分満足すべき妥当性が得られた。

疫学的研究における脳卒中患者の把握と診断

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