無菌モルモットの肺に対するガス吸入実験

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普通に飼育したモルモットの呼吸器系, なかんずく肺を病理組織学的に調べてみると, しばしばある種のカタル性変化が見られた。SO2ガスを吸入させて, 肺の変化を知ろうとする際に, 通常どれがSO2ガスによる本質的な病変であるかを知ることが困難であって, 偶発的に起っている変化であるか, SO2ガスの作用によるものであるかを区別し難いことが多かった。この実験では, 約40ppmのSO2ガスを通した無菌飼育アイソレーター内に無菌モルモットを飼育し, 3∼18日間, 適宜の時期に2匹ずつの被曝モルモットを取り出し, 肺の病理所見を調べたものである。被曝モルモットと同時に, 同じ生存日数の無菌モルモットおよび普通飼育モルモットを対照動物として取り出し肺を調べた。無菌モルモットにおける特徴的な所見の概要は次の如くであった。曝露3日, 著明なうっ血と溢血が毛細血管およびその周囲に見られ, 血管周囲の浮腫が見られた。曝露5日, 肺胞中隔内の細胞の増加が認められた。曝露10日, 肺胞中隔の結節状肥厚が認められた。曝露12日, 小血管周囲に線維芽細胞の増加が認められた。曝露14日, 小気管支からその周囲に向って好銀線維の放射状分布が著しく認められた。曝露18日, 小気管枝周囲の結節状変化が進行し, 弾力線維の切断, 結節状部分の中心で, おしつぶされた小気管枝の周辺に, 崩壊しあるいは変性した細胞の集団が認められた。以上の如く, 比較的低濃度のSO2ガスが無菌モルモットの肺に及ぼす作用は, 病理組織的所見よりすれば, 初期のうっ血, 溢血, 後期の肺胞壁における結節状変化が主体をなすもので, 結節の形成は線維芽細胞の増加・好銀線維の増加によるものであった。
日本衛生学会の論文

無菌モルモットの肺に対するガス吸入実験

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