赤外線吸收スペクトルによるキノリン溜分及びイソキノリン溜分の分析

概要

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赤外線吸収スペクトルにより従来分析困難であったコールタール塩基性高沸点溜分の成分分析を試み,次の如き結果を得た.<BR>1)分溜キノリン試料の成分分析を行った処,キノリン及びイソキノリン二成分系とみなして差支えない事が判り,この定量を行って各成分の含量を求めた.この際標準混合試料の分析をした処,標準偏差約1%となり,偏りもなく,満足すべき結果を得た.<BR>2)分溜イソキノリン試料の成分分析を行った処,キノリン,イソキノリン,2-メチルキノリン及び8-メチルキノリンの四成分系とみなして定量出来る事が判り,この定量を行ったが,従来の方法による四成分系の定量では互に吸収波長が重複するため誤差がかなり大きいので,この困難を二成分補償法により打開して満足すべき結果を得た.標準混合試料の定量結果の標準偏差はキノリン約0.2%イソキノリン約0.5%,2-メチルキノリン約0.7%,8-メチルキノリン約0.6%であった.<BR>以上の分析は極めて短時間,しかも操作頗る簡単に出来,工業分析として有力なる事を確認した.
社団法人日本分析化学会の論文