永久凍土層の氷について
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概要
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永久凍土層 (Permafrost) は高緯度地方に一般にみられる現象である.その分布は広大であるが, 調査地を北米アラスカ州中央部のフォックスに選び, CRREL永久凍土層用研究トンネルを用いて, 永久凍土層についての一般的な観察を行なった.トンネルは後期ウィスコンシン氷期 (第四氷期後期に相当) の堆積層の中に掘られている.トンネル側面に露出した地層に対して, 地層の一般構造, その中に含まれる氷の産状・形態・構造・組織などについての観察結果を記載した.永久凍土層は異なった堆積相を示す単層の累重によって構成されている.それぞれの相を示す単層は堆積物およびその中に含む氷の形態などで異なっている.氷塊は形態上, Ice wedge (楔状氷), Pond ice (氷化池), Vein ice (脈状氷) などとよばれるものなどがみられる.組織解析 (Fabric analysls) はIce wedgeに対してのみ行なったが, その結果によれば, 結晶主軸方位の集中パターンは氷河氷の場合と同じく1極大又は多極大を示す.これら主集中域は剪断面に対しほぼ垂直な方向をもっている.しかし中には剪断面と平行する亜極大をもつものがみられ, 定方位性形成の機構が氷河氷の場合と全く同じであると考えるわけにはいかない.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
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