Kallmann症候群の1剖検例
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概要
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本邦で最初の, Kallmann症候群の1剖検例(26才,男)を報告する. 23才の時,回盲部癌で手術をうけた. 26才の時,某整形外科医に骨端線未閉鎖と類宦官体型を指摘され,内分泌的検査の目的で入院した.血縁者に類似疾患患者はいない.二次性徴は認められず,嗅覚検査でanosmiaを確認したが,先天性奇型はなかつた.胸部X線写真で腫瘍状陰影を認め,細胞診で悪性細胞を検出した.内分泌機能検査では,血漿LHおよびFSHの基礎値は測定感度以下で,クロミフェン試験では血漿LH-RH, LHおよびFSHの分泌反応はみられぬが, LH-RH負荷に対して血漿LHおよびFSHは遅延型の増加反応を示した. HCG負荷後の血漿テストステロンおよび尿17-KSの反応はみられなかつた.下垂体-甲状腺系,下垂体-副腎系機能およびTRH負荷後のPRLの分泌反応はほぼ正常であつた.インスリン負荷に対するGHの分泌反応はやや低値であり, 50g GTTでは軽度の耐糖能異常を認めたが,血漿IRIは正常反応を示した.患者は転移性肺癌の放射線療法中に心外膜炎を併発し,死亡した.剖検所見では,睾丸は低形成を示し,精子形成像とLeydig細胞は認められなかつた.脳重量は1400gで両側嗅球および嗅索は欠損していたが,光顕的には視束前核をはじめ,視床下部の諸核および脳梁,脳弓,前交連に著しい変化は認められなかつた.下垂体前葉にはゴナドトロピン分泌細胞が認められた.本例はLH-RHの分泌不全による視床下部性性機能低下症を強く示唆するが,その形態学的異常は,視床下部ホルモンの免疫組織化学的検索などによりさらに検討の必要がある.
著者
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斎藤 史郎
徳島大学医学部第1内科
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井坂 勝利
徳島大第二内科
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森 博愛
徳島大学医学部
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井坂 勝利
徳島大学医学部第二内科学教室
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近森 一正
徳島大学医学部第二内科学教室
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古谷 敬三
徳島大学医学部第二病理学教室
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玉橋 信影
東北大学医学部抗酸菌病研究所
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森 博愛
徳島大学医学部第二内科学教室
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斎藤 史郎
徳島大学医学部中央臨床検査部
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古谷 敬三
徳島大学医学部病理学第2講座
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